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読みもの 03
陰陽平衡
睡眠と覚醒が織りなす陰と陽
東洋の伝統思想では、宇宙の始まりを混沌(こんとん)と考える。混沌とは、天地も万物もまだ分かれていないエネルギーの状態である。そのエネルギーが二つに分かれて天と地が生まれたとされる。天へ昇った明るく軽やかな気が「陽」、地へ降りた暗く重い気が「陰」である。陰と陽の源は同じである。
陰は受動的な性質を持つもの、陽は能動的な性質を持つものとされる。月や夜、冬は陰に、太陽や昼、夏は陽に分類される。重要なのは、陰と陽が単に対立する概念ではないという点である。同じ源から生じているため、互いに影響し合いながら存在している。陰と陽の二つの気が平衡を保つことで、秩序が成り立つと考えられている。
また、陰だけの存在も、陽だけの存在もないとされる。陰の中には陽が含まれ、陽の中にも陰が含まれている。状況によって陰は陽に転じ、陽は陰に転じる。その変化の中で全体のバランスが保たれている。
この考え方を睡眠に当てはめると、睡眠は陰、覚醒は陽と考えることができる。両者は正反対の状態だが、同じ人間の中で起きている現象であり、互いに深く影響し合っている。夜によく眠れれば日中は活動的になり、その活動が次の夜の良い睡眠につながる。反対に、睡眠の質が低ければ日中の覚醒度は下がり、その結果として再び睡眠の質が損なわれる。睡眠と覚醒は一つの循環の中にある。
さらに、睡眠そのものの中にも陰陽が存在する。眠っている間に休息しているのは主として大脳であり、一方、脳幹は眠らずに働き、大脳を休息させている。また、睡眠中の大脳も常に休んでいるわけではない。深い休息を担うノンレム睡眠と、比較的活動性の高いレム睡眠が交互に現れる。ここにも陰陽の関係を見ることができる。
睡眠と覚醒という大きな陰陽、そして睡眠中の小さな陰陽。これら大小の陰陽の平衡が保たれることが、健やかな暮らしにつながる。昼はしっかり活動し、夜はしっかり休む。そのメリハリのある生活こそが陰陽平衡を整えるのである。


