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おりん

空間を澄み渡らせる、透明なゆらぎ

伸びやかな響き、高低音のバランス、ゆっくりと寂滅してゆく余韻。ゆらぐ音にこだわって鋳造されたおりんです。打った瞬間の澄んだ一音から、波のようにうなりを重ねながら、音はゆっくりと静けさへ溶けていく。澄んだゆらぎがあまねく広がり、豊かな余白をもたらします

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Design

デザインしたのは、音。色は、その余韻のために。

音に関わるすべての要素にこだわり、「ゆらぐ音」を最大限に引き出すためのシンプルなかたち。銅に亜鉛と錫を混ぜた合金を鋳造し、配合・形状・肉厚を吟味しました。装飾を削ぎ落とし、音の輪郭が静かに際立つように設計しています。仕上げは、金属の表情を整える伝統の着色技法です。刈安(かりやす)――イネ科ススキ属の多年草――を煎じた煮汁で銅器を煮込み、下地を整える。日本酒や食酢に鉄屑を数ヶ月以上寝かせた“おはぐろ”液を、藁の芯で束ねた刷毛に含ませ、加熱しながら刷り込んで染め付ける。漆を薄く重ねて仕上げると、落ち着いた深みのある表情が立ち上がります。

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Story

400年の鋳物の地で、音を磨き続ける

富山県高岡市。江戸初期、加賀藩の産業政策として鋳物師が招かれて以来、400年以上にわたり銅器づくりの技が受け継がれてきた土地です。鋳造から仕上げ、着色まで、それぞれの工程を専門の職人が担う分業制のもと、一つの音が形になります。着色に使われる自然由来の塗料は、原料の配合や寝かせる期間が各工房に代々伝わる秘伝のもの。天候や季節によって変わる金属の反応を読み取りながら、長年の経験で最良の色味を引き出します。「限りなく良い音」をひたすらに追い求め、ひとつづつ丁寧に磨き上げています。

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Culture

音で区切りを置き、気配を整える

虫の声に耳を傾け、木の葉が触れ合う気配を感じ取る。日本には、古来より、自然が奏でる音を慈しむ風土がありました。そして、音の余韻を味わい、音が消えたあとの余白を尊ぶ美意識が存在します。
坐禅や読経の場で、始まりと終わりを告げる合図として用いられてきたおりん。時代とともに、祈りや感謝を表す道具として暮らしに根づいていきました。澄んだ音が場の空気に区切りを置き、意識をそっと切り替える。節目のための音として受け継がれてきた、音の文化を象徴する道具です。静寂へと溶けていくおりんの響きにも、そうした感性が宿っています。音を鳴らすことよりも、音のあとに残る余韻。揺らぎがほどけていくとき、静かな余白がゆっくり広がります。

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Sustainability

草と鉄が織りなす、伝統の手仕事

おりんの着色に使われるのは、自然に由来する原料です。化学塗料に頼らず、自然の素材と職人の手で、金属の表面を守っています。山野に自生する苅安草を煎じてつくる「刈安液」。苅安草は、古くから黄色を染める染料植物として用いられてきました。日本の風土が育んだ草の力が、おりんの表情を整えます。日本酒または食酢に、古釘や鉄屑を入れてつくる“おはぐろ”。おはぐろには、おりんに深い色味を与え、耐久性を高める働きがあります。仕上げに用いる漆は、樹木から採れる樹液です。古来より、塗料や接着剤として用いられ、素材の腐朽を防いできました。音をつくる金属と、色をつくる草と鉄。経年変化が美となり、時とともに育っていく道具です。

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Ritual / NEZEN LIFE

澄んだ響きとゆらぎが、心に「余白」をひらく

空間を澄み渡らせたいとき、托を打ち、続いておりんを4回、静かに響かせる。澄んだ一音のあとに現れる、波のようなゆらぎ。うなりを重ねながら、音はゆっくりと広がっていきますその余韻にただ耳を澄ませるうちに、思考の力みがほどけ、心と体が緩んでいく。音が消え去ったあとに訪れる、凪のような静けさから、豊かな余白の時間が生まれます。

​布団​

おりん

おりん布団

柝、おりん棒

燭台、線香立て

お香

和蝋燭

作務衣

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